良助旦那の原因不明の高熱と変貌
どんな伝承か
昭和十九年八月、祖父安五郎の命日に本間一家は墓参りをし、傍らの寺の本堂で宴席を開いた。和やかに談笑していた当主良助は、従兄弟が娘の縁談を話しているさなか、脈絡もなく「そんなことは許さんぞ」と大声で怒鳴った。その日から良助は人が変わったように口調も態度も荒々しくなり、原因不明の発熱を繰り返すようになる。医者は「熱があるのに風邪でもなく、ほかはどこも悪くない」と首をかしげた。熱が出ている間は日本軍の悪口を口汚くわめくので、家人は憲兵の耳に入ることを恐れ、熱の下がるのを待つほかなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年))
『恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話』は、中岡俊哉が一九七六年に著した『悪霊があなたを狙う』(双葉社)のうち、まえがきと目次、第一話「“幽霊屋敷”悪霊のたたり」を収めたものである。千葉県館山市上野原の網元本間家で、娘の神隠しを発端に一家が絶えるまでの出来事を、元下男の源兵じいさんが著者に語った聞き書きの形で記す。目次によれば原本は悪霊憑依の実話十一話を二部に分け、終わりに霊魂の存否と悪霊対策を論じる章を置く。