神かくしにあった十六歳の娘
どんな伝承か
本間家の長女ふでが、十六歳の時に何の手がかりもなく突然失踪した。網元の傘下の人々や警察まで動員した大規模な捜索も実らず、行方は杳として知れなかった。ある日を境に手がかり一つ残さず消えたため、いつしか「神かくし」にあったのだと語られるようになった。ふでを可愛がっていた祖父安五郎は深く落胆し、以後仕事をやめて昼間から酒に頼るようになったという。
原典より
「なにから話したらいいのか、わしにも分からんが、とにかく昔のことから、順番に話していった方が、いいのだろうな」源兵じいさんは、そういって、語り出した。—— 恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年))
『恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話』は、中岡俊哉が一九七六年に著した『悪霊があなたを狙う』(双葉社)のうち、まえがきと目次、第一話「“幽霊屋敷”悪霊のたたり」を収めたものである。千葉県館山市上野原の網元本間家で、娘の神隠しを発端に一家が絶えるまでの出来事を、元下男の源兵じいさんが著者に語った聞き書きの形で記す。目次によれば原本は悪霊憑依の実話十一話を二部に分け、終わりに霊魂の存否と悪霊対策を論じる章を置く。