船尾の谷でぼた餅を食べた神かくし
どんな伝承か
八木原の人が神かくしに遭って行方知れずとなり、村中が総出で探しても見つからなかった。四十日ほど過ぎたころ、当人はひとりで戻り、船尾の谷で湯気の立つぼた餅を毎日食べていたと語った。そこは千段狩りと呼ぶ村の秣場で、馬を引いて草刈りに通う原である。実際には馬糞を口にしながらさまよっていたのだろうと村では噂した。ほかにトキという人が十日ほど姿を消し、蓑を着て浅間山すなわち水沢山にいるところを見つけられ、中子稲荷に隠されて姿を消した老女もあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ)
『渋川市誌 民俗編』は、渋川市の市誌民俗編のうち、第六章「民俗信仰」の第一節から第五節の初めまでを収めたものである。人魂・幽霊・ロクロッ首・生まれかわり・死神などの霊魂の話、手をつけてはいけない聖地や耕すと祟る忌地、オサキ使いや狐つき、神かくし、若宮八幡などのたたり、イチッコと呼ばれる巫女や祈禱師、東向き鳥居参りなどの祈願を、市内の大字ごとの聞き書きで記す。はじめにで章全体を解説し、続く節では話に見出しと採集地の大字を添える。