乳を乞う幽霊と那谷寺の女児
どんな伝承か
那谷寺に善寧という高僧がいたころの話である。行き倒れた身重の女が死に、寺の墓場に葬られた。すると毎夜、寺へ乳をくださいと訪ねて来る者があるので、すり粉を与えていた。三日ほどして僧があとをつけると、幽霊は墓場で消えた。その下から子の泣き声が聞こえるので掘ってみると、女の子が生きていた。寺が引き取って育て、のちにえんちょうという僧の子として、全国を行脚したと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。