田植えの歌声が結んだ藩主の生母
どんな伝承か
徳田は、加賀三代藩主前田利常の生母である寿福院の生まれ在所で、その人はもとおりんと呼ばれていた。田植えどき、美しいおりんの歌声が前田利家の目にとまって召され、やがて生まれたのが利常だったという。徳田千石は籾殻でも納めればよい、可愛いおりんの里なのだから――そう歌う唄が今も残る。徳田神社の別当である安養寺に利常が寺領を寄進したのも、この神社がおりんの産土神だったからだろうと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。