十二の祠と布下の地名由来
どんな伝承か
このあたりに信心の無い老婆がいた。川で布を晒していると牛が来て、布を角に掛けたまま走り出す。老婆は北へ北へと追いかけ、ついに善光寺へ着いた。如来を拝んで仏心を起こし、そのまま家へ帰って善人になったという。家族十二人もみな善男善女となり、布岩の下にある十二の祠はその人々を祀ったもので、付近を十二河原と呼ぶ。牛は牛引観世音の仮の姿で、角に掛けた布が風に吹かれて岩に付き、白い斑になったのだという。この布引の下にある村落を布下と呼んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。