馬鹿囃子で動き出した橋桁引きの牛
どんな伝承か
霊的な作用は人間に限らず動物にも見られるという例である。往年、浅草橋を架け替えたとき、数頭の牛に橋桁を引かせたことがあった。ところが途中で牛は申し合わせでもしたように立ち止まり、どれほど鞭を当てても一歩も動こうとしない。人夫たちが手を焼いていたところ、一人が機転を利かせて馬鹿囃子を盛大に鳴らしながら牛を引いた。すると牛は不思議なほどあっさり歩き出した。祭礼のたびに囃子を聞きながら山車を引いてきた長年の経験が結びつき、囃子の音が山車を引く動作の合図として働いたのだと説かれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象治病法(心霊学研究会・近代(明治〜大正・霊術))
心霊学研究会編『心霊現象治病法』。精神と肉体の関係(一体一元論・心身相関)を理論的基礎とし、精神力によって病を癒す心霊療法を説く明治〜大正期の霊術書。観念・暗示・感應・睡眠と覚醒・潜在意識の働きを論じ、霊魂不滅と神人合一の思想を背景に、疾病の心霊療法、天地療法・轉地療法、加持祈祷、人が具える自然力としての法術を扱う。