解剖台の下敷きになった男を救った霊動術
どんな伝承か
大正十一年六月のある日、麻布桜田町六十二番の梅田某が仕事場でカンナを研いでいたところ、背後に立てかけてあった慶應病院注文の八十余貫の解剖台が倒れて下敷きになった。掃除中の妻と長男が広告箱を片付けるさい、誤って突き当たった弾みであった。駆けつけると患者は玉のような汗を流して震え、立ち会った二人の医師は病院へ送るほかないと死を宣告して帰ったあとだった。脊髄に骨折がないのを確かめ、大声で「大丈夫だ直ぐに治る」と叫び、臍下丹田に気力を集めて一喝とともに霊動術を施すと震えが止まり、三十分ほどで口を利き、一時間後には煙草を欲しがったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象治病法(心霊学研究会・近代(明治〜大正・霊術))
心霊学研究会編『心霊現象治病法』。精神と肉体の関係(一体一元論・心身相関)を理論的基礎とし、精神力によって病を癒す心霊療法を説く明治〜大正期の霊術書。観念・暗示・感應・睡眠と覚醒・潜在意識の働きを論じ、霊魂不滅と神人合一の思想を背景に、疾病の心霊療法、天地療法・轉地療法、加持祈祷、人が具える自然力としての法術を扱う。