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笄橋の下屋敷にいた尾二股の古猫

所在地東京都港区(笄橋)
年代天保九年春
登場狐釣り名人、惣兵衛
出典動物妖怪譚

どんな伝承か

麻布の笄橋にあった堀田備中守の下屋敷では、天保九年の春ごろから怪しいことが続いた。家中の者はもちろん、外から出入りする者までが次々に誑かされ、命を落とす者まで出たという。狐狸のしわざではないかと恐れた家中は評議のうえ、領分である下総佐倉の百姓で狐釣りの名人と評判の惣兵衛を呼び寄せた。惣兵衛が魚や鳥を餌にして釣り上げた狐は六、七匹、いずれも打ち殺した。ある夜、とりわけ騒がしいので、また狐だろうと大勢で駆けつけたところ、捕らえたのは大きな犬よりなお大きく、尾が二股に裂けた古猫だった。これを打ち殺すと怪異はやんだ。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))

『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。

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