女人禁制の砦山と御所石
どんな伝承か
横平川に沿って北へ数町ゆくと、道の西に古砦と呼ぶ小山がある。尹良親王が最初に構えた砦だという。そこから七、八町ほど北には二百尺あまりの山があり、これが砦山で、頂が親王の砦の跡と伝える。砦山は古来神聖な地として女人禁制で、男でも新しい草履に履き替えねば登れない慣わしであった。さらに二十町ほど北の御所平には、田の中に御所石と呼ぶ大きな岩があり、親王が食事の際に用いた御座石だという。添える菜が無く蕨の汁をすすったといい、この石の見える限りの蕨は今も灰汁が無く生でも食べられるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。