青木家に伝わる親王滞在の遺物
どんな伝承か
稲武町の笹平(現豊田市御所貝津町笹平)には、尹良親王の臣であったと伝える青木平太郎という家がある。青木家には親王が滞在中に用いた古井戸、福洲青磁の皿五枚、桑の木で作った膳一枚が伝わる。また親王のみたらい場と称する所があり、その水をつけるといぼが治るという。青木家の前のお釜屋敷は親王の遺蹟として神聖視され、今も月経中の女子がここを通ると手に傷をするという。青木家の大黒柱には鶯が刻まれ、親王の滞在中はいつも朗らかな声で鳴いて親王を慰めたというが、今この柱は残っていない。青木家の前の山の「御守神」碑と、地蔵ヶ峠の法篋印塔二基は、いずれも親王の娘の琴姫の墓と伝える。街道に沿った御所貝津には親王石という三尺四方で長さ二尺の石があり、これを踏み台にして馬に乗る者は必ず落馬するという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。