赤池に祀られた薬師と赤蛇
どんな伝承か
赤池は曳馬村上島の西北の隅にあり、薬師の参拝所の境内に三坪ほどの池がある。延暦十三年の冬から翌年の正月にかけて磐田海の渡船場が逆風に荒れ、舟が覆って溺れる者が絶えなかった。朝廷は坂上田村麻呂を差し向け、延暦十四年二月朔日に浜松の宿へ着いた将軍は舟岡山に陣屋を構える。玉袖と名のる美女が仕えるようになり、その勧めで潮海寺の薬師如来に祈ると、海の主は三千五百年を経た赤蛇で、赤池に堂を建てて薬師を祀れと告げられた。玉袖は赤蛇の化身で、出産の折に正体を見られ、干潮満潮の玉を残して去ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。