大石が転げ落ちた隠れ坂
どんな伝承か
大船渡町の地の森の山手には小さな沢があり、そこに洞穴があって、昔は蝦夷が住んでいたと伝わる。田村麻呂将軍が奥羽地方の蝦夷征伐に赴いた折、この地方にもやって来た。一行が普金山や赤崎町佐野のあたりの賊を平らげて大船渡の方へ進むと、地の森付近の蝦夷が目にとまり、これを退治しようとした。将軍は地の森の裏手から山に登り、畳が二枚ほども敷ける大石を渾身の力で蝦夷めがけて放った。蝦夷は驚いて付近の坂に身を隠したが、大石は大きな唸りを生じながら坂を転げ落ち、隠れた蝦夷の頭上を越えて、今の西光寺の火葬場の東の方まで落下していった。この事に因んでこの坂を隠れ坂と呼び、大石は今も残るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。