泥掛地蔵の田植手伝い
どんな伝承か
気仙郡立根村字関口の地蔵堂について、管理者の及川亮仁が語った話を又聴きしたものである。同堂前の別当及川勇蔵の先代の頃、今から五、六十年前のこと、ある年の五月の田植の時に人手が足りずに困っていたところ、どこからともなく一人の童子が来て田掻きのサセ取りを手伝った。夕方になり、その苦労をねぎらおうと呼んだが姿が見えない。どうしたことかと四辺を見ると、地蔵堂の本尊が泥まみれになっておられた。それから泥掛地蔵と申し上げるようになったという。この地蔵は日頃市の盲の老婆の足を立たせたとも言い伝え、以後ひどく繁昌したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。