鳴瀬の一の渕に臥す女と竜王
どんな伝承か
佐久間町鳴瀬(現浜松市天竜区)の話。鳴瀬の沢を奥へ登ると大きな渕が三つある。その一の渕の青く澄んだ岸の岩の上に、年の若い美しい女が寝ていて、可愛い女だと思って見た者は、みなその渕の中へ落とされてしまうという。この大蛇を八大竜王様としてお祀りしてからは女も現れなくなり、以前はよく舟が沈んだという鳴瀬も無事に通れるようになった。今ではおたかさんから二十三代目に当たるという婆がお宮の守をしている。その婆の子におたきさんという人があり、不意に目が見えなくなったとき、竜王が夢枕に立って、一夜のうちに目が見えるようにしてくれたと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。