日を招いて植え終えた嫁殺田
どんな伝承か
昔、大内に大変口やかましい男がいた。息子が年頃になって嫁をもらったが、この嫁が男の気に入らず、何事につけてもいじめた。嫁は、嫁入り先は墓場と思えと母から言い聞かされていたので、辛抱して泣き暮らしていた。ある日の昼過ぎ、男は嫁に、向かい田の広い田圃を日の入るまでに植え付けてしまえと言いつけた。大の男が一日がかりで植えるほどの広さだったが、嫁は素直に従い、日が西の山に入ろうとするのを「おれが植え終わるまで待ってくれよ」と泣きながら差し招き、とうとう植え終えた。ほっとして畦に腰を下ろした時、連日の気疲れが一時に襲い、その場で絶命した。その場所を嫁殺田といっていたが、今は嫁田と呼んでいるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。