猩猩が酒手をくれた沼島の畑
どんな伝承か
沼島の泊に三郎太夫という酒好きの漁師がいた。島の裏手へ釣りに出たが漁が少なく、腰の瓢箪の酒を飲んでいると、海の底から猩猩が現れて酒をねだった。二杯まで飲ませたところで、これ以上では晩酌が残らないと断ったが、猩猩は悪いようにはしないと言って残らず飲み干した。酒手をくれとせがまれると、家の恵比須棚の上を見よと答える。帰って棚を見ると百目の金がのっており、酒を買って戻るとまた同じ金がのっていた。正直に人を助ければ報いがあるというので、その金で泊の観音の上の畑を買い、酒手畑と名づけて代々栄えたという。
原典より
昔、この沼島の泊に、三郎太夫という酒好きな漁師がおってのう。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。