石に足跡を彫った平谷善左衛門
どんな伝承か
今から八十余年前に申年の凶年があり、その翌年、御巡見の一行が当地を通った。村の老人平谷善左衛門は御通行の駕籠に手をかけて年貢の減少を願い出たが、役人は無礼をとがめ、狂人とみなして一間四方の獄舎を作らせ、そこへ投じたと伝わる。善左衛門は獄に入るとき前にあった石に上がり、この境遇を憤って満身に力を込めたため、石に深く足跡が彫られたという。獄は五寸角の材で組まれ錠で固く閉ざされていたのに、その身は自由に出入りできたのが不思議であったと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。