大蛙となって大蜘蛛と闘った弥六
どんな伝承か
昔、小鹿村に弥六という樵夫が住んでいた。山へ入った村人が次々と帰らず魔物の仕業だと噂されたので、気丈な弥六は正体を見届けようと奥山へ入った。渕のほとりで弁当を使っていると空が暗くなり、蜘蛛の糸が下がって身にからみついた。見上げれば梢に大蜘蛛がいる。弥六は糸を払って逃げ帰り、氏神に七日の願をかけると、望みは叶うが身も亡ぶとの告げがあった。満願の夜、宮が鳴動して弥六は一丈余りの大蛙と化した。渕へ戻った蛙は大蜘蛛と闘い、糸を断って渕へ落ちた。そこへ黒雲から金竜が現れて大蜘蛛を呑み、蛙は村の見える山上で石になった。厳峯寺山上の蛙岩がそれで、近くの月の輪は許婚おたつが金竜と化した所と伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。