鶏の声に欺かれた林の負け戦
どんな伝承か
語り手の村である林では、昭和のはじめまで鶏を飼ってはならないという言い伝えがあったという。愛の山を境に、後ろが川根方、前が林にあたる。その境で戦が起こったとき、山頂で敵を見張っていた者が、鶏の声を聞いて敵が後ろから回り込んだのだと思い込み、引き返してしまった。だが敵は村におらず、初めの見立てどおり山から攻めて来て負け戦になった。鶏はただ夜明けを告げただけだったという。
原典より
私の村である林は、昭和初期まで、鶏を飼ってはならない言い伝えがあったそうです。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。