大地震で海に沈んだ戸島千軒
どんな伝承か
須崎市の戸島についての記録である。この島は賀茂大明神とは直接関わらないが、戸島千軒・大坊千軒として八百比丘尼の事跡に現れる。大坊は鴨の宮の向かいにあった古い栄えた浦で、漁師が網で頭は人、体は魚という怪物を得た。ある漁師の幼い娘がその傷ついた肉をなめ、十六ほどで同じ浦の漁家に嫁ぎ、八、九十歳になっても容貌は若く、二百歳に至る頃に剃髪して諸国を巡り、若狭に留まってさらに数百年を経て八百歳の頃に土佐へ帰ったという。戸島も野見浦の南にあって古くは栄えた浦であったが、白鳳十三年十月十四日の大地震で海に没したと伝え、干潮のときに船から海底をのぞくと井戸の跡が見えるといい、記者も十歳の頃にそれを見たと記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。