夫に化けた猿猴と月夜の川畔
どんな伝承か
里岩村から嫁いできたおえんは、七月十六日に実家へ戻り、盆踊りの輪に加わっていた。そこへ夫が現れ、急な用ができたと言うので、連れ立って須川へ向かう。月の明るい庄田川のほとりで夫に求められるまま契りを結び、家に着いてみると、当の夫は土間で草履をこしらえており、迎えになど行っていないと言う。それから十か月の後、おえんは子を産んだが、生まれたのは猿猴の子であったと語り伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。