川太郎の子と噂された次太郎
どんな伝承か
伊与木郷で、ある女が川太郎と交わって男子を生み、その子は川太郎によく似ていたと伝える。大庄屋安沢義三郎の一子次太郎は、面ざしが猿に似て体に毛がなく、髪も生えず、錐のような前歯が五、六枚あり、息がひどく長かった。ある人が深い渕に釣り糸を垂れて釣針が物に掛かって外れなくなったとき、次太郎は自ら潜って取ってくると言い、渕に飛び込んだ。なかなか戻らず案じていると、やがて浮かび上がって針を手にしていた。遅かった訳を問うと、さまざまな魚が泳いでいるのを見ていたと答え、水底十二尋まで潜ったという。息の長さを試そうと川上から川下まで潜らせると、二軒ほど下で浮かび上がったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。