千立野の耳なし地蔵と琵琶法師
どんな伝承か
昔、伊予の松山方面から城了という盲目の琵琶法師が越知の町へ流れて来た。横倉寺の住職仙英は城了を寺に置き、仏前で琵琶を弾かせていた。ところが城了は夜ごと寺を抜け出す。訳を聞くと、毎夜迎えの武士に従って鞠が奈路の御殿へ行き、平家物語を語っているという。鞠が奈路は安徳天皇の陵のある所で、住職はこの世の者があの世に出入りすれば命を取られると案じ、加持の香水を全身に塗って外出を止めた。翌朝、城了は両耳をもぎ取られて倒れていた。香水を塗るとき、耳だけを忘れていたのである。城了の死後、寺の者は亡骸を寺の北の千立野に葬り、耳のない地蔵を立てた。これを千立野の耳なし地蔵という。
原典より
昔、いつの頃であったか、伊予の松山方面から城了という盲目の琵琶法師が、この越知の町へ流れてきました。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。