谷底から担ぎ戻されたゴットン石
どんな伝承か
諫早市の八天岳の頂近くにゴットン石と呼ばれる石がある。縦横一メートル五十センチ、厚さ一メートルほどの大石が二枚重なり、その上に直径一メートルばかりの球形の大石が載せてある。指一本で押しても揺れてゴットンゴットンと鳴る。大地震のとき球石が谷底へ転げ落ちたのを、大蔵が肩に上げて元の石の上へ戻し、今日に至るという。大蔵は寛延三年七月十九日に土師ノ尾で没し、自然石の墓標に釈宗西不退位と刻まれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。