鬼の角を祀る角宮と月形岩の穴
どんな伝承か
『南郷事蹟考』は角宮の由来を記す。里の言い伝えでは、金ハブシという鬼が落とした角を祀ったものだという。大神が阿蘇山の玉嶽から阿蘇谷をへだてた大石を的に矢を射たとき、矢を拾わせた金ハブシが足の指にはさんで投げ返した。無礼を怒った大神が追うと、鬼は大山の岩を突き通して逃げ、そのとき岩で角を突き落とした。その角を祀って角宮と名づけたという。穴は角宮の上の高山にあり、大きいものは縦横四尺ほどで、洞には十六羅漢の石像を安置する。また熊野宮の後ろの山を東西に貫く穴を月形岩といい、これも金ハブシが突き通した跡だと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。