七夕竹で戸を叩く美々津の八朔
どんな伝承か
神武天皇は美々津の港で船出の支度を進め、紙鳶を揚げさせて風向きを測ったうえで、八朔の日の出立を決めた。まだ夜の明けきらぬころ、起きよ起きよと戸を叩く声が響き、急な出発を知らされた人々は、あわてて米の粉に小豆を搗き混ぜたものを天皇に差し上げた。これが搗き入れ団子だという。今もこの団子を作る習わしが残り、子どもたちは七夕竹を手に、起きよ起きよと家々を走り回るのだと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。