米原長者と駄の原長者の宝比べ
どんな伝承か
菊池郡米原に名高い米原長者がいた。長者は財宝を見せびらかそうと、山本郡駄の原の駄の原長者に宝比べを申し込んだ。当日、米原長者は珍宝珍玉や金銀の千両箱をことごとく道の左右に並べ、見物人は黄金の踏み台に上って眺めた。一方、駄の原長者は男子二十四人、女子十五人を盛装させて連れてきた。見物人はみな子供たちに見とれ、金銀を見る者は少なかった。子のない米原長者は『千の宝より子が宝』と嘆いた。その嘆いた所を浦山口(浦山坂)と呼ぶようになったという。
原典より
旧昔菊池郡米原村に名高き長者ありて米原長者の名近隣に轟き富豪の権化と尊ばれて奴婢六百人牛馬四百頭菊池谷より山鹿郡千田の里に至る三千町歩を耕作地とし此の水田を唯一日間に苗植するを毎年行事の誉とせり。—— 日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。