追剥の家を絶やした巡礼の念力
どんな伝承か
五代のあたりがまだ開けていなかったころ、三人の追剥がすみつき、通りかかる旅人から金品を奪っていた。ある日、山路にさしかかった巡礼が道を尋ねると、彼らは違う道を教えて山奥へおびき寄せ、殺して持ち物を奪った。巡礼は息を引き取る前、自分の念力でお前たちの家族を皆殺しにしてやると言い残した。その言葉どおり三人の家族も子孫も次々に死に、絶えようとしたので、巡礼の墓を開いて白骨を三つに分け、それぞれ葬って霊を弔ったところ、以後は死ぬ者が出なくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。