縁談を拒み池へ消えた庄屋の娘お浪
どんな伝承か
霧島山中の深い林の奥に一つの池があった。そのふもとの村の庄屋夫婦には子供がなく、祈願の末にようやく女の子を授かり、お浪と名づけて育てた。お浪は十八になると多くの縁談を持ちかけられたが笑うばかりで応じず、やがて部屋に閉じこもるようになる。ある夜「山の奥へ行きたい」と言い出し、父と二人で山へ登ると、お浪はそのまま池に身を投げて二度と姿を見せなかった。お浪はこの池に住む竜王の化身であったといい、以来この池は「お浪の池」、のちに「大浪の池」と呼ばれるようになったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。