花を掏り替えた神と絶えぬ盗人の種
どんな伝承か
昔、世の始まりに天照大神と多くの神々が虫を作り魚を作って次々に世の中を作っていったが、人間も作らねばならぬというので、粘土で人形をたくさん作り庭先に干していた。ところが突然にわか雨が降ってきたので、大急ぎで型に入れて始末せねばならず、足を曲げたり手を折ったりしてようやく収めた。誰が世を治めるかは、枯木に花の咲いた者と決めたが、隣に寝ていた神がそっと花を替えてしまった。天照大神は世を譲る代わり、世のある限り盗人の種は絶えないと言ったので、今も盗人が絶えない。麦も稲も粟も扱いで穂先だけに実がつくようになったが、はい豆は手が痛くて扱けず捨てたので、はい豆だけはよく実るのだという。
原典より
両足を下ろすと、泥、泥に足をとられないかと思って、—— 日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。