月に孕んだ子アツモリと白扇
どんな伝承か
月の明るい晩、娘が月に向かって小便をしたところ身ごもり、十二か月を経て子を産んだ。アツモリと名づけられたその子は、父無し子といって責められる。父のことを問われた母は木で首をくくって死んだ。母を探して木の下へ行くと、月の光が真昼のように差し、いつしか木の株が家に変わっていた。一夜を明かして目覚めると、子は母の白骨を枕にしており、その骨から母をかたどり直したという。太陽は女神、月は男神であり、月は望みのかなう白扇をこの子に授けたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。