八つの蔵を開いた屋蔵大主
どんな伝承か
屋蔵大主は第一尚氏の尚巴志の祖父にあたる人で、伊平屋島の我喜屋に永住し、たいそう農業に熱心であった。豊作のたびに蔵を一つずつ建てて穀物を蓄え、その蔵が満ちるとまた次の蔵を建てて蓄えることを繰り返し、ついに八つの蔵がいっぱいになった。ところがひどい飢饉が生じ、農民が蔵から出してくれと願っても、屋蔵大主はまだ大丈夫だ、これから飢饉が続くからと言って応じなかった。いよいよ切羽詰まって一家が死ぬかというところで、蔵を一つずつ開けて農民に分け与え、全部の蔵を開放して住民の苦しみを救った。それで屋蔵大主とあだ名がついたという。その骨は伊平屋のハイフという崎の所に祀られていると伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。