甲斐の稲作を始めた土本毘古王と苗敷山
どんな伝承か
綏靖天皇の時代、日向の土本毘古王が勅命を受けて甲斐国に来て、鰍沢を切り開いたので、湖が干上がって良い田に変わった。王は人々に耕作を教えて稲の苗を育てさせ、はじめ東八代郡右左口村の向山で試し、のちにこの村でも試作した。苗観殿と穂観殿を建てて農民に稲穂を一束ずつ納めさせ、秋には稲穂を小さく結んで穂見殿に献上させ、出来ばえを調べて褒美を与えたという。これが甲斐国の稲作の始まりで、土本毘古王は穂見大明神として祀られている。
原典より
綏靖天皇の御代、日向土本毘古王勅命を奉じて、甲斐の国にお出でになり、鰍沢を開削したので、湖水が変じて良田となった。—— 韮崎市の民話伝説(韮崎市教育委員会・1967年(昭和42年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
韮崎市の民話伝説(韮崎市教育委員会・1967年(昭和42年))
『韮崎市の民話伝説』は、韮崎市教育委員会が昭和四十二年に発行した民話・伝説集である。韮崎・円野・中田・穴山・藤井・神山・穂坂・清哲・旭・大草・竜岡の十一町で民俗資料調査員が集めた百六十八話を収め、武田信玄・勝頼や鎮西八郎為朝、弘法大師の話、山の神のたたりや化かされた話などに話者名や『裏見寒話』などの出典を添える。巻頭に昔話と伝説の解説を置き、本文を木・石・水・塚・坂峠・山・谷沢・屋敷跡城址・祠堂・その他の十部に分ける。