川を下って平方に流れ着いた獅子頭
どんな伝承か
上尾市平方のお獅子は、もとは伊草村にあった立派な獅子頭で、大水のときに入間川の法華渕へ飛び込み、流れ下ってきたものだという。『埼玉の獅子舞』の伝えでは、伊草の獅子が村回りをしている途中で後獅子が川に落ち、数日後に平方に上がったので返してもらった。ところが翌年の夏祈禱の村回りでも前の年と同じように川に落ち、また平方に流れ着いたので、伊草の人々はこれも神の思し召しだろうと考え、後獅子を平方に贈ったという。伊草に残った先獅子と女獅子は、天文二十二年に白井沼の真福寺が伊草の大聖寺から譲り受け、白井沼の獅子舞の始まりになったとも伝わる。
原典より
昔、伊草村には立派な獅子頭があったが、大水の時、入間川の法華渕に飛び込み流れていった。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。