正月に餅をつかない岡田家
どんな伝承か
川越市増形の岡田家では、昔、年の暮れに祖先が戦争に出陣したため、餅をつく暇がなかった。そこで餅の代わりに赤飯を用意したという。その故事によって、この家では今でもお供え餅をつくらないと伝えられている。餅をつかぬ家、あるいは正月餅を四日につく家といった同種の伝えは近隣の村々にも見え、いずれも祖先が出陣して暇がなかったことを理由としている。『川越地方郷土研究』第二冊に載る話である。
原典より
増形の岡田家では、昔、暮に祖先が戦争に出陣したため、餅をつく暇がなく、赤飯を代りにした。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。