七夜鉦を鳴らして果てた舜海の入定塚
どんな伝承か
北田島には、舜海という僧が入定した跡と伝える畑地が残っている。かつてここには円満寺の末の小さな堂があったが、いつのころか取り壊され、今はわずか四、五坪の畑になっている。老齢の舜海は堂の庭先に入定塚を築き、近隣を訪ねて、まもなく入定するが塚の中で鉦を打ちながら心経を唱える、その音が絶えたら往生したと思ってほしい、音が続くうちは決して戸を開けるなと告げた。舜海はほどなく入定し、鉦の音は昼夜を分かたず塚から響いた。村人が代わる代わる訪れて安否を確かめたが、七夜目についに音が絶えた。戸を開くと、舜海は珠数と鉦たたきを手にしたまま端座して息絶えていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。