内海の主の法螺貝と猿島の由来
どんな伝承か
木更津の沖には一の瀬という隠れ州があり、その先にはさらに大きな中の瀬がある。二つの瀬にはさまれた海はどれほど深いか知れず、四方から山の裾が落ち込んで擂鉢の底のようだという。そこに山ほどもある大きな法螺貝が棲み、漁師たちは内海の主と恐れた。寝返りを打てば地震、あくびをすれば嵐、咳をすれば海鳴り、屁をすれば津波が起こるといわれた。竜宮を見に出た法螺貝は印旛沼で八千巻大蛇と七日七夜戦い、ついに大蛇を土ごと引きはがして海へ投げた。それが相模の金沢沖に落ちて島となり、横須賀沖の猿島になったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。