フグ中毒で餓鬼道に落ちた講仲間
どんな伝承か
千葉県木更津市の話。毎年御岳さんに一緒に講を組んで行く金次郎という人が、河豚に当てられた。河豚が好きで年中自分で料理して食べていたが今まで何ともなかった。ある時おばあさんに煮させたところ、煮方が早かったのか当たってしまった。御岳さんから買ってきたお百草を飲んでも受け答えなしに吐いてしまい、すぐ中央病院へ行ってあらゆる処置をしてもらった。口はまるっきり痺れ、『おらも、とうとうだめだ』と自分でうっすら分かったという。本人は『おれ、三途の川へ行って来たよ。川がみえた。そいでおれは餓鬼道に落ちた。一生懸命自分の禊の祓いをやったりして生き返った』と語り、河豚の毒は一年以上抜けきらないと言っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。