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寒々しい川原で手を引く亡き母

所在地群馬県前橋市
年代昭和十年
登場村田康男
出典現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話

どんな伝承か

昭和十年、流行性感冒が全国で猛威をふるい、クルップ性肺炎で多くの人が亡くなっていた。回答者の家では胃がんの祖父を看病した母が、祖父の死とともに倒れ、葬儀を前に高熱で亡くなった。旧制中学生だった本人も寝込み、父の手で市内の病院に入院したが重体だった。ある夜、気づくと長い道を歩き、白黒映画のように寒々しい川原に立っていた。そこへ母が現れ「ヤスオ、よく来た。一緒に行こう」と手を取ったが、彼はその手を振り払い「行かない」と答えた。母は寂しげに背を向け、もやのかかる野原へ去っていった。泣きじゃくって汗まみれになり、翌朝には熱が下がっていたという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))

『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。

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