長壁の宮に集う千五百柱の神々
どんな伝承か
十一日、侍女が使いに来て、翌日は諸神が客に来て管弦の宴があるので宮へ参って酌をせよと告げた。十二日の昼過ぎ、家族そろって宮へ行くと、春は宮の内に入って平伏し、家族は外で待った。やがて幽かな笛の音が八度ほど聞こえ、途中で春が出てきて、子どもが飽きて泣かないようにと大神が下さった柿を弟妹に配った。帰って聞くと、客神は浅間山の石長姫命、富士山の木花開屋姫命、土地の鎮守八幡大神、上野の惣社大神、武蔵の氷川大神など千五百柱で、楽の音は家族には幽かだったが、春には前橋中島まで響くほど高く聞こえ、宮の前には神々の馬が数多くつながれていたという。
原典より
家内の者は宮の前に伺ひ居たるに、間もなく、笛の音幽にヒィーと八度程聞ゆ。—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。