大神の侍女になったお竹とお松
どんな伝承か
閏十月十日、宮へ参った春に一人の侍女が、自分は世にお竹大日如来と呼ばれる者で、生前の善行によって大神に仕えることができ、於竹大神の名を賜って何不自由なく安らかに暮らしていると語った。もう一人の侍女は於松と名乗り、ご隠居様なら知っている者で、このところ大神の使いとしてたびたび富田家にも来ていると言った。祖父の景山に話すと、昔家によく出入りした正直な女に於松がいたと思い当たった。十三日に来たお松は、生前の恩に礼を言いたいが神界の掟で姿は見せられないので春から伝えてほしいと頼み、神を信じ正直に生きたので死後は神に仕えて安らかだと語ったという。
原典より
私世に有し時、つねに神信心をして又物事正直にしたりしによりて、今は見玉ふごとくに大神につかへ奉て御恵を蒙り、実に安らかに居るなり。—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。