大神が摘んだ柳の葉で癒えた宿病
どんな伝承か
閏十月十日の昼ごろ、早川竜之助が大神に願書を奉りたいと春を連れて宮へ参ったが、近く客神が来るので侍女たちは襷がけで掃除に追われ、願書は暇な日に出すようにと言われた。そのころ酒井源三の妻は長く血の道を病んで家の中も歩けず、薬も効かずに困り果て、大神の恵みで治す手立てはないかと頼んで来ていた。取り込み中ながら伺うと、大神は手ずから御前の柳の葉を十枚摘み、一日一枚ずつ煎じて飲ませれば治ると言って授けた。酒井家に届けて飲ませると、長年の病はすみやかに癒えた。掃除で戸障子を外した宮は、錦の畳に金銀の壁、鯉や鴨のいる大池のある大きな御殿だったという。
原典より
これを酒井氏へつかはして呑ましむるに右の如くなる宿病すみやかに癒たり。—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。