津波を生き延びた女とタナ婆の墓
どんな伝承か
その昔、八丈島を大きな津波が襲い、島の人家はことごとく呑まれたが、身重の女がひとりだけ舟の櫓にすがって助かったという。女はのちに男の子を産み、やがてその子と交わって子孫をふやし、島の人の血筋はここから続いたと語られる。この女はカコミ女子、またはタナ婆と呼ばれた。島のうちには、もともとタナ婆の墓と伝えられるものが三か所あったという。うち末吉の芦河阪にあったものは、記録によれば明治のはじめに畑地に開かれて失われたとされる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。