八丈島で猫が見せる火
どんな伝承か
本土では狐火と呼ぶものが、八丈島では猫の見せる火だと語られている。二十歳の青年が、島では夜中に猫が火を見せると書き送り、これは科学で説明がつくのかと尋ねた。答える側は、狐の涎に含まれる燐が光るという昔からの説明は誤りだとし、目の錯覚か別の火か光ではないかと退けている。ただし、飼われている猫が夜になると魔性をあらわして山中に群れ集まるという島の言い伝えは、人と猫の関わりを考えるうえで貴重な資料であり、妖怪の歴史の問題だと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。