八丈島に疱瘡を寄せぬ為朝の武威
どんな伝承か
富士川游は、疱瘡除けの呪符の一つに鎮西八郎為朝宿を挙げる。為朝ほどの猛士が家の内にいれば病魔も入り込めない、という考えによるもので、八丈島に古来疱瘡が流行しないのは、島に流された為朝の武威を恐れて疱瘡神が近寄らないためだと信じられたことに由来するという。「豆州八丈島鎮守正一位八良大明神像」と題して為朝の像を紅絵にしたものや、鎮西八郎箭根を図にして疱瘡の守護とするものもある。願懸重宝記には、地蔵堂の絵馬のうち為朝の書があれば請い受けて門口の上に吊るしておけば、その家の小児の疱瘡が軽くすむと記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の研究(富士川游(監修)・富士川游・医学史/迷信研究・昭和初期)
医学者・富士川游が監修した『迷信の研究』。迷信を医学史・民俗学・心理学の立場から体系的に分類・解説した大著で、二百数十項目にわたる。總體では迷信の定義・歴史・階段・根本(原始的宇宙観)・暗示・妄想・科学との関係・心理(錯視現象)・光明面(フレーザー)を論じる。身體では人体十二宮・七曜・五行配当、厄歳とその俗説、相生相尅・男女相性・有卦、女が夫を殺すとされる丙午の迷信と天明・弘化のさとし書を扱う。