八丈島に漂着した八人の鬼
どんな伝承か
『古今著聞集』に、一一七一年に伊豆の八丈島で起きた出来事が記されている。島の沖に見慣れない異国の船が流れ着き、中から八人の鬼が現れた。背丈はそれぞれ二・五メートルほどで、赤黒い肌に真っ赤な髪、丸い目玉をしていた。島民は恐れながらも水と食べ物を与えたが、言葉は少しも通じない。島民の弓矢を欲しがった鬼が断られると争いになり、鬼は脇の下から炎を噴き出して威嚇し、島民五人が殺され四人が深手を負った。島民が神社に奉納してあった弓矢を持ち出し、物陰から応戦すると、鬼たちは船に飛び乗って海へ逃げ去ったという。
原典より
伊豆の八丈島沖合に見慣れぬ異国の船が漂着した。—— 黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年))
『黄昏綺譚』は、高橋克彦が連載をまとめ、一九九六年七月付のあとがきを付したエッセイ集で、吉田光彦の挿絵と組んだ画文集である。著者が体験し見聞きした分身や生霊、寺での怪異、前世、UFOなどの不思議と、史料や神話に残る怪異、宮澤賢治をゴッホの生まれ変わりとみる考えを語る。「この世に幽霊はいる」「不思議な話が史料や神話に」「宮澤賢治はゴッホの生まれ変わり!!!」の三部に分かれ、巻末にあとがきと丸尾末広の解説「黄昏るペン」を収める。