佐々木喜善が伝えたザシキワラシ
どんな伝承か
著者は、文学の世界で岩手県が誇れる存在として宮澤賢治、石川啄木、野村胡堂、佐々木喜善の四人を挙げる。佐々木喜善こそ柳田國男に遠野のあやかしの物語を伝えた人物で、その名誉は編者の柳田に奪われているが、民話採取者としての功績は偉大だという。『遠野物語』のザシキワラシは十二、三ばかりの童児で、土淵村大字飯豊の今淵勘十郎の家では、休暇で帰った娘が廊下でばったり行き逢って大いに驚いたと記される。また山口の旧家、山口孫左衛門の家には童女の神が二人いると久しく言い伝えられていた。著者は、これが佐々木喜善の記す姿とは天と地ほど異なると指摘する。
原典より
文学の世界において私の生まれ育った岩手県には誇れる四人の存在がある。—— 黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年))
『黄昏綺譚』は、高橋克彦が連載をまとめ、一九九六年七月付のあとがきを付したエッセイ集で、吉田光彦の挿絵と組んだ画文集である。著者が体験し見聞きした分身や生霊、寺での怪異、前世、UFOなどの不思議と、史料や神話に残る怪異、宮澤賢治をゴッホの生まれ変わりとみる考えを語る。「この世に幽霊はいる」「不思議な話が史料や神話に」「宮澤賢治はゴッホの生まれ変わり!!!」の三部に分かれ、巻末にあとがきと丸尾末広の解説「黄昏るペン」を収める。