河童神の御手洗池の底の異界
どんな伝承か
加美郡色麻村の一ノ囲に古く鎮座する磯良神社は、通称を河童神さまという。その御手洗の池は、どんな日照り続きのときでも水が涸れることがなく、用水堀に続いていた。昔、近所の安彦甚之丞という者が十七、八歳の夏、仲間と二人で用水堀をくぐって泳ぎ回っていたところ、いつの間にか水底から水のない所へ出た。そこには立派な家があり、窓から覗くと十七、八の美しい娘が機を織っていた。ここは何処かと尋ねると、人間の来るところではない、来たことを三年たたぬうちに人に語れば必ず禍いがあると言われた。夢中で逃げるともとの用水堀に出た。のちに酒に乗じて口を滑らせた一人は、原因不明の高熱で急死したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。