畜生堂で白犬に助けられた爺
どんな伝承か
爺と婆が我が子のように育てていた白い犬が、ある日突然いなくなった。爺は山の上にあるという畜生堂へ行ったに違いないと考え、杖をついて山奥へ登った。見つからぬうちに日が暮れ、遠くの明かりを頼りに一夜の宿を乞うと、きれいな婆が快く泊めてくれた。朝になって婆は、自分は可愛がってもらった白い犬だと明かし、ここが畜生堂で入った者は出られないが、裏の街道をまっすぐ行けば人間の道に出る、途中で何を勧められても食べてはならないと教えた。爺はわき目もふらずに歩き、背中に鏡餅をぶつけられても振り向かずに家へ帰り着いた。婆に背中を見てもらうと、餅の大きさに真っ白な毛が生えていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史)
『南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説』は、南郷村の村史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。奥会津に語られる昔話を方言のまま書きとめ、きのこの化け物、食わず女房、三枚のお札、天女の羽衣などを語り手の地区と名を添えて載せ、伝説では高倉宮以仁王、蛍堂、箱渕のきつね、萩山稲荷の萩太郎、天狗の飛礫などを伝える。昔話と第二節「伝説」に分かれ、末尾に参考資料の一覧を付す。